OH MY FONTに清和堂フォントが追加 ― 写植時代の明朝体を受け継ぐ清和堂明朝体とUgarit Coin
2026年10月7日(水)から、OH MY FONTのアプリで「清和堂フォント」の書体が使えるようになりました。
清和堂フォントは、写植の時代から本文用の明朝体を見つめ続けてきた多田信之氏が運営するフォントブランドです。写植時代の美しいフォルムを現代に進化させた本文用の明朝体と、古代の楔形文字にルーツを持つ欧文書体が加わりました。
この記事では、追加された書体の特徴と、デザイナー・多田信之氏をご紹介します。
今回OH MY FONTに追加されるのは、清和堂フォントの「清和堂明朝体」と、楔形欧文「Ugarit Coin(ウガリトコワン)」の2種類、あわせて11書体です。
目次
- 清和堂明朝体とは?
- 清和堂明朝体の漢字
- 清和堂明朝体 グローバル
- 清和堂明朝体 文芸
- 清和堂明朝体 和様
- 清和堂明朝体 伽羅
- 楔形欧文 Ugarit Coin(ウガリトコワン)
- デザイナー紹介:多田信之
- まとめ
清和堂明朝体とは?
清和堂明朝体は、写植メーカーの時代から本文用の明朝体を見つめ続けてきた清和堂フォントが、写植時代の美しいフォルムを現代に進化させて作り上げた、本文用の明朝体です。
特徴は、汎用性の高い「漢字」に、表情の異なる「仮名」を組み合わせて展開していること。漢字は写植由来の優雅で繊細なフォルムを踏襲しながら、従来の明朝体にはないほどよい懐の締め具合に調整し、格調高く仕上げられています。
そこに、グローバル・文芸・和様・伽羅という4種類の仮名シリーズを組み合わせることで、同じ漢字でもまったく異なる表情の本文書体が生まれます。長文でもしっかりと読ませる、本文用書体としての完成度の高さが清和堂明朝体の魅力です。
清和堂明朝体の漢字

4つの仮名シリーズに共通する「漢字」は、写植時代からの優雅で繊細なフォルムを踏襲しています。金属活字から写植に移り、文字を直接筆書きでデザインできるようになったことで生まれたこの特徴を、清和堂明朝体はさらに進化させました。従来の明朝体にはない、ほどよい懐の締め具合に調整し、長く使われてきた本文用明朝体の魅力的なテイストも織り込むことで、格調高い仕上がりになっています。
横画の起筆は従来の明朝体の形を踏襲し、斜めに打ち込んでラッパ型に抜けていくフォルム。明朝体は筆の筆法を彫刻刀のような刃物で削り取った形で表したものであり、そうした起源を大切に生かしています。縦画の起筆も同様に、過剰にならないほどよい打ち込みに仕上げられています。
清和堂明朝体 グローバル


フラッグシップとなる仮名シリーズ。それぞれの文字固有の形を大事にしながら、標準性・汎用性を追求し、無駄のない鍛え上げたボディで、読むことに特化した理想的なフォルムを目指しました。一見オーソドックスに見える骨格の中に、文章の流れを止めない工夫が凝らされています。
| 商用 | 商用利用可 |
| 形式 | OpenType |
| ウェイト | ライト/レギュラー/ミディアム |
| 収録字数 | Adobe-Japan1-3(9,354字) |
| ライセンス | 使用用途別許諾範囲一覧 |
清和堂明朝体 文芸


文庫本などで培われた写植の書体を、より時間をかけて贅沢に熟成させた仮名シリーズ。筆書きのストロークを取り入れ、肉筆に近いイメージで設計されています。骨格の曲線が筆書きに近いため、手描きのリズムの心地よさを感じさせます。
| 商用 | 商用利用可 |
| 形式 | OpenType |
| ウェイト | ライト/レギュラー/ミディアム |
| 収録字数 | Adobe-Japan1-3(9,354字) |
| ライセンス | 使用用途別許諾範囲一覧 |
清和堂明朝体 和様


明朝体と行書仮名を組み合わせた、今までになかった新しい試みの仮名シリーズ。江戸時代の画家・尾形光琳の「燕子花(かきつばた)」のフォルムを取り入れ、和の洗練されたたおやかさを表現しています。
| 商用 | 商用利用可 |
| 形式 | OpenType |
| ウェイト | ライト/レギュラー/ミディアム |
| 収録字数 | Adobe-Japan1-3(9,354字) |
| ライセンス | 使用用途別許諾範囲一覧 |
清和堂明朝体 伽羅


高級香木「伽羅」の薫り高く優雅なイメージを表現した仮名シリーズ。全ての文字の組み合わせにペアカーニングを設定し、文字と文字の間隔まで丁寧に調整することで、個性的で雅やかな文章の表情を作り出します。
| 商用 | 商用利用可 |
| 形式 | OpenType |
| ウェイト | ライト |
| 収録字数 | Adobe-Japan1-3(9,354字) |
| ライセンス | 使用用途別許諾範囲一覧 |
楔形欧文 Ugarit Coin(ウガリトコワン)


現在のシリア北部にあった古代都市ウガリトの遺跡から発掘された、紀元前14〜13世紀の楔形文字「ウガリト語」へのオマージュとして生まれた欧文書体。楔形のフォルムをラテンアルファベットに落とし込んだ、ファンタジー系のビジュアルにもよく似合う個性的なデザインです。
| 商用 | 商用利用可 |
| 形式 | OpenType |
| ウェイト | 単一ウェイト |
| 収録字数 | ラテン文字261文字 |
| ライセンス | 使用用途別許諾範囲一覧 |
デザイナー紹介:多田信之

1965年生まれ。 1989年千葉大学工学部工業意匠学科視覚情報伝達講座卒業。株式会社写研に入社し文字開発デザイン部所属、2003年までフォントデザインに携わる。石井賞タイプフェイスコンテスト2位入選。佳作2回。けんじ隷書仮名、写研2000年発表の本蘭ゴシック8ファミリーの仮名デザイン、サインペン教科書体「イダサイン」企画制作、新書体の制作監修・仮名開発担当など。2003年より株式会社三洲社で官公庁等のパンフレットのグラフィックデザイン担当。2005年より講談社のグループ会社・豊国印刷株式会社でグラフィックデザイン・電子コミック制作体制の立ち上げ・社内基幹データベースシステムの開発保守担当。2021年より写研がモリサワ社とOpenTypeフォントの共同開発での合意発表をうけ写研に復帰し2024年からの100書体リリースに携わる。現在、写研で書体制作の傍ら、2007年より独自に運営している清和堂フォント代表。
まとめ
写植の時代から本文書体と向き合い続けてきた清和堂フォントの明朝体が、2026年10月7日よりOH MY FONTに加わりました。グローバル・文芸・和様・伽羅、4つの仮名シリーズが織りなす表情の違いを、ぜひ読み比べてみてください。